田無駅から徒歩8分にあるマンションの10階に、カフェ「jiccai(じっかい)」(田無町3)がオープンし1カ月がたった。
米油を使い「食べても罪悪感がない」と好評の「ベジケーキ」。数種類のレーズンとスパイス、クルミで深みのある味わい
店主は「chitosaji(ちとさじ)」として焼き菓子の製造販売を行う海老澤晴子さん。市内産の珍しい野菜を使ったオリジナルの「ベジケーキ」などを販売しながらカフェを営業する。
築31年のマンションの10階の一室、約40平方メートルの2LDKを改装した同カフェ。店主自らがデザインし、電気工事や基礎部分を除く作業のほとんどをDIYで完成させた。白壁の店内にビンテージ家具や落ち着いた色合いの陶器などを飾った「こだわり」の空間には、「お菓子の受け渡し時に、すてきな作品を見てくつろいでもらえたら」と、自身が敬愛するという作家の作品を展示・販売するギャラリースペースも設けた。
以前は友人の依頼に応じて焼き菓子を作っていたが、口コミで100個の注文が入ったことを機に「きちんとした形で製造・販売したい」と改装に着手し、昨年11月25日にプレオープン。客からのリクエストにより、コーヒーや焼き菓子のイートインができる菓子製造所兼カフェとして1月21日に開業した。
同店で提供するのは、できるだけオーガニックにこだわった材料で作る焼き菓子やドリンク。持ち帰り用の商品は、14センチのパウンド型で作るケーキ8種のほか、「JICCAIクッキー」や手作りのグラノーラなど。イートインメニューは、少し固めに仕上げた「バーコードプリン」とケーキ4種、ハンドドリップのコーヒー、ショウガのドリンク「ホットジャンジャンブル」など7種をそろえる。
看板メニューの一つ「ベジケーキ」には、市内産のイタリア伝統野菜「トロンボンチーノ」を使う。近所で農業を営む「やすだ農園」(西原町2)の直売所で販売している珍しい野菜に興味を持ち、「おいしいお菓子にしたい一心」で試行錯誤の末、オリジナルレシピを完成させた。「じゃがバタケーキ」は、じゃがいもの甘さやサクっとした食感が子どもから大人まで好評。地元野菜のおいしさを積極的に取り入れている。
「ベジケーキ」の創作をきっかけに、同農園とのイベント出店など新たな展開も。コピス吉祥寺グリーンマルシェ出店のほか、市内のイベントにも出店予定。市内産の野菜とお菓子の魅力や新たな可能性を伝える。
カフェの営業は木曜11時30分~16時30分のみ。海老澤さんは「お菓子製造がメインのためカフェ営業は多くはできないが、今後は少しずつ増やしていきたい。贈り物としての焼き菓子を、店内でゆっくり味わってもらえたら」と話す。