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東村山で俳優・石井正則さんの写真展 国立ハンセン病療養所13園の記録を手焼きで

「8×10(エイトバイテン)」と呼ばれる大判カメラで撮影する石井正則さん

「8×10(エイトバイテン)」と呼ばれる大判カメラで撮影する石井正則さん

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 俳優・ナレーターなどで活躍する石井正則さんがハンセン病療養所の「今」を捉えた写真展「13(サーティーン)~ハンセン病療養所の現在を撮る~」が2月29日から、国立ハンセン病資料館(東村山市青葉町4)で開かれる。

石井正則さんが撮影した愛生園回春寮内部

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 「自転車名人」などタレント活動以外の顔も持つ石井さんは、フィルム写真の愛好家としても知られる。お笑いコンビ「アリtoキリギリス」解散後も俳優・ナレーターなどの仕事を続ける傍ら、プライベートで国内にある国立ハンセン病療養所13カ所を全て回り、療養所の現在の姿を写真に収めてきた。14歳の時に多磨全生園(同)に入所し、入所者自治会会長を務める平沢保治さんとの親交も深い。

 撮影に使うのは「8×10(エイトバイテン)」と呼ばれる大判カメラ。35ミリフィルムカメラや中判カメラに使用するロールフィルムとは違い、平らで大きなシート状のフィルムを使うため、1枚撮影するごとに入れ替えなければならない。手間はかかるが出来上がった写真の情報量の多さや精緻さから、プロカメラマンを筆頭に今なお根強いファンがいる。

 同展を企画した学芸員の木村哲也さんは「石井さんが(同館に)たびたび訪れていることは知っていたが、プライベートな時間のため声を掛けるのは控えていた。2016年から3年かけて全ての国立ハンセン病療養所を撮り終えられたタイミングでお願いしたところ、快諾いただけた」と話す。

 期間中は石井さんが自身で手焼きしたモノクロ写真27点を展示するほか、石井さんによる2回のトークイベントも開く(各回定員130人、事前申し込み要)。3月8日に行う第1回では「ハンセン病療養所の写真と音楽」をテーマに作曲家の阿部海太郎さんをゲストに迎え、長島愛生園入所者の故・近藤宏一さんにちなんだ詩の朗読と演奏を予定する。4月19日の第2回では「ハンセン病療養所の写真と詩(ことば)」をテーマに、入所者が詠んだ詩の作品を石井さんが朗読で紹介する。

 木村さんは石井さんの撮影した写真について「写っている物自体の持つ力というか、歴史や空気が凝縮されていると感じた。今は写真を手焼きできる人自体が少なく、表現方法やアートとしても非常に希少。パネルではなく額装して写真そのものを展示するので、間近に感じてもらえたら」と話す。

 開館時間は9時30分~16時30分。写真展、トークイベント共に入場無料。5月6日まで。

※同館は新型コロナウイルス対策により2月29日から3月16日まで休館となりました。上記イベントについては、3月17日以降に延期となります。最新状況はホームページを参照ください。(2月28日発表)

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