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小平の照恩寺でアートプロジェクト 木版画家・瀧野尚子さん作品16点展示

木版画家の瀧野尚子さん

木版画家の瀧野尚子さん

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 小平の「照恩寺」(小平市美園町3、TEL 042-341-2935)で現在、木版画家の瀧野尚子(ひさこ)さんによる個展「おとなり」が開かれている。

過去に展示した作家のポストカードなども

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 1950(昭和25)年創建の同寺院。住職の溝口賢亮さんが「『お寺』をもっと身近で開かれた場に」と、2018(平成30)年から「SHOUONJI ART PROJECT」をスタート。学生など若手アーティストらの創作活動の発表や地域交流の場として寺院を開放し、アートを通じて老若男女が集える空間づくりに取り組んでいる。

 シーズン15となる今回は「かわいさの中に鋭さが見え隠れする」瀧野さんのリトグラフを中心とした作品を、回廊や床の間を使って展示する。びょうぶのほか、掛け軸のように軸装して床の間に飾る作品もあり、「和の空間に合う親しみやすい作品が並んだ。ただ見るだけではなく、五感で味わっていただけたら」と溝口さん。

 瀧野さん自身もこうした形での展示は初めてだと言い、「通常のギャラリーで行う展示とは全く違う雰囲気になった。中庭が見える回廊と作品を一緒に見るというのも、この空間ならでは」と話す。展示タイトルの「おとなり」には、「新型コロナウイルスの影響で、人と人が会うことが難しくなってしまった。今までのように気軽に会えなくても、隣にいる感じを表現できたら」と思いを込めたという。

 作品の一つ「群盲」はコロナ禍の中で生まれたもの。4本足の動物がすっぽりと頭を覆い隠された版画には「マスク生活で人の目を気にするようになり、他者の存在を良くも悪くも意識するようになったこと」から「見えていないものが右往左往し、中も不確定な様子」を表現した。「中は猫かもしれないし、もしかしたら顔がないのかもしれない。見る人によって受け取り方はさまざまだと思うが、それでいい」と瀧野さん。

 溝口さんは「アートをきっかけに、若い方も年配の方も等しく集まってもらえるのではと考えたプロジェクト。昔から浄土真宗の寺院は街中にふらりと立ち寄れる空間としてあり、文化を発信する場でもあった。現在では宗教儀礼のイメージが強くなってしまったが、本来の姿に立ち戻り、コミュニティーとしての『お寺』を再認識してもらえたら」と話す。

 開催時間は12時~18時。火曜・水曜定休。8月9日まで。

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