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東村山の竹田商店が131年の歴史に幕 「ここの味でないと」惜しむ声も

恩多町にある直営ショップ

恩多町にある直営ショップ

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 東村山の調味料メーカー「竹田商店」(恩多町3、TEL 042-313-2361)が10月30日、最後の営業を終えた。

閉店を告知する入り口の貼り紙

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 1889(明治22)年に酒販店として創業した同社。1915(大正4)年から食酢の製造販売を始め、その後もソースやつゆなどさまざまな液体調味料を展開してきた。4代目の竹田健次さんが社長に就任した2007(平成19)年、新たに「辻」ブランドを立ち上げるとともに、工場直営ショップ(同)をオープン。地元農家の野菜や果物を使った「朝どれ野菜の新鮮ソース」の量り売りや、旬の果物をふんだんに配合したフルーツ酢の販売でも注目を集めた。

 久米川駅前で月1回開かれる「マルシェ久米川」に出店するほか、近隣を中心とする生産者から農産物加工の相談を受けてオリジナル商品の開発を支援するなど、地域に密着した経営を続けてきた。飲食店や小売り販売店向けにも調味料を卸していたが、新型コロナ禍の中、廃業の決断に至った。製造業としての営業は終えるが、屋号はそのまま残す。

 閉店の知らせをホームページ上に出したのは10月1日。メンバーズカードを発行した顧客へもはがきで知らせたが、全ての人に送ることはできなかったという。情報を知った人からは、SNS上で「本当に閉店してしまうのか」「ショックが大きい」「残念です」など惜しむ声が相次いだ。

 最終日は午前中から客が次々と訪れて残り少なくなった商品を買い求め、スタッフや竹田さんと会話を交わす姿が見られた。「もっと早く来たかったんだけど、最後になっちゃった」「もうこれしか残ってないの?」「じゃあ社長、ありがとうございました」など、短い言葉の中にも愛されてきた様子がうかがえた。「箱で買ったのはもう全部配っちゃって」と再来店する女性の姿もあった。

 竹田さんは「甘露酢や『つゆ一番』など、『ここの味でないと』という声は本当に多く頂いている。今日に至るまで営業できたことは、ひとえに応援していただいた皆さまのおかげ」と感謝を口にする。「今後についてはまだ何も決まっていないが、今までの経験を生かして調味料製造とは違う方法で、生産者の方や地域の皆さんのお役に立ちたい」と前を向く。

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