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市民手作りの「西東京市カルタ」完成 「田無と保谷の一体感」願い、4年越しで

かるた製作の中心となった富沢木実さん(写真右)から丸山浩一市長に手渡した。報告には編集委員会メンバーの徳丸由利子さん・隼(じゅん)君親子、中村晋也さん(左から2番目)も同席

かるた製作の中心となった富沢木実さん(写真右)から丸山浩一市長に手渡した。報告には編集委員会メンバーの徳丸由利子さん・隼(じゅん)君親子、中村晋也さん(左から2番目)も同席

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 市民が4年がかりで作成した「西東京市カルタ」の完成を受け、4月3日、製作委員会のメンバーらが西東京市役所田無庁舎を訪問し、丸山浩一市長に報告を兼ねて手渡した。

手描きの絵や消しゴムはんこなど、多彩な絵札がそろった

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 かるたの内容は「あんこの田無 包みの保谷 一緒になって20年」をはじめ、「田無タワー」の愛称で親しまれるスカイタワー西東京や東伏見にある「ダイドードリンコアイスアリーナ」など、市のシンボル的な建物を詠んだものも。かつて保谷納豆の工場が近くにあったことから「なっとう公園」と呼ばれる保谷第二公園の歴史など、遊びながら楽しく学べる内容が盛り込まれている。

 製作の中心となったのは、大手銀行や大学教授などを経て現在は地域活動にも取り組む富沢木実(とみさわ このみ)さん。旧・田無市と旧・保谷市が合併したのは2001(平成13)年と既に20年近くたつが、いまだに「西東京市」としての認知度は低いという。なかなか旧市同士の一体感が持てずにいる現状もあり、「自分たちのまちに誇りや興味を持ってほしい」と長年企画を温めてきた。

 友人と作ろうとして何度か挫折していた富沢さんだが、2017(平成29)年10月、フェイスブックに「西東京かるたを作ろう」の公開グループを立ち上げて呼び掛けると好意的な反応が寄せられ、読み札が次々と投稿される流れが生まれた。重複する題材を整理するために急きょ編集委員会を設け、あいうえお順にまとめていったという。

 読み札に合わせる絵札は、当初全てを装丁家の大貫伸樹さんによる消しゴムはんこで作ろうとしていたものの、手が足りないことから同じように募ったところ、小学生から高齢者まで幅広い年代による絵札作品が集まった。「みんなが勇気を持って投稿できるように」富沢さん自身も絵札を投稿したと笑う。絵札の作成者は18人、読み札の投稿者は31人、グループのメンバーとしては117人によるプロジェクトとなった。

 田無市時代に作られた「たなし郷土かるた」に倣い、読み札の解説文も1枚ごとに作成。富沢さんは「文章の得意なメンバーや市の歴史に詳しいメンバーがいたからこそ実現できた。直接集まらずとも進められる、ネットならではの良さも大きかった」と振り返る。印刷代には社会福祉協議会の助成金を充て、足りない分は仲間内での販売で工面した。

 委員会メンバーで駄菓子店を営む中村晋也さんは「西東京ってどこ?と言われることは多い。市外から見ると何となく東京の西の方、というざっくりとした認識なのでは」と話す。丸山市長は「市の人口は約20万5000人だが、半分以上は西東京市に名称が変わってから入られた方」と説明し、「保谷の北側は風景が変わる。あの緑は残したい」と目を細め、絵札や説明文を感慨深そうに見つめた。

 富沢さんは「今はとにかく、ようやく完成してホッとしているところ。学校で教材として使ってくれたらうれしい。読み札や説明文にはルビをふったので、外国の人にも遊びながら勉強してもらえるのでは」と期待を込める。「良い時期が来たら、かるた大会などができたら」とも。

 かるたは市内の図書館や小学校、学童クラブ、多文化共生センターなどに寄贈する。現在のところ大々的な販売予定はないという。

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