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小平の粕谷園、「東京うこっけい」育てて32年 20羽で始まり150羽に

代表の粕谷英雄さん。「小平の井戸水で飼育するのが特徴」と話す

代表の粕谷英雄さん。「小平の井戸水で飼育するのが特徴」と話す

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 農産物直売所や「学習型・体験農園みのり村」を経営する小平の「粕谷園(かすやえん)」(小平市上水本町1)が小平産のウコッケイの卵の販売を始めて、1月で32年目を迎えた。

小平の粕谷園、「東京うこっけい」育てて32年 20羽で始まり150羽に

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 漢字の烏骨鶏の「烏」は「黒い」という意味。ウコッケイはその名の通り、皮膚や内臓、骨が真っ黒なニワトリの一種。ふわふわとした羽毛が特徴。指の数が一般的なニワトリと比べて1本多いなどの相違点がある。年間で300個前後の卵を産むニワトリに対し、ウコッケイは年間50~80個と少なく、大きさも半分程度。冬場はほとんど産卵しない。

 同園が飼育する「東京うこっけい」は、青梅畜産センターが年間190個程度産卵するように改良を加えた品種で、都の農林水産振興財団に認定された東京ブランド畜産物の一つ。同園では1991(平成3)年、敷地の片隅でひっそりと養鶏を始めた。「最初は20羽だった」と代表の粕谷英雄さんは振り返る。

 畜産業に携わった経験から、「農業は循環させるもの」と実感した粕谷さん。ウコッケイと出合った時に「養鶏で発生するふん尿を農業に生かせるのでは」というアイデアが浮かんだ。さまざまな試行錯誤を繰り返し、今では約150羽を飼育するまでに成長した。

 粕谷さんは「ウコッケイの体作りをしっかり行うことが、質の良い卵を届けられる秘訣(ひけつ)」と話す。「自然環境の良い小平で育っている恩恵も大きい」とも。

価格は1パック6個入り660円。同園の母屋と、経営する「学習型・体験農園みのり村鷹の台直売所」で扱う。数量が少ないため即完売することも珍しくない。遠方から買い求める客もいるという。

 個人販売だけではなく、市内の店などにも卸している。地産食材を使った洋菓子の製造販売を行う創業38年の「パティスリーかしの木」はその中の一店。オリジナル商品の「小平うこっけいプリン」を販売する。店主の石留(いしどめ)健太さんは「冬場は卵を生まない日が続くこともあり、プリンの店頭在庫が不足しがちになる。それでも、皆さん楽しみに待ってくれる。手土産用としても長年愛されているロングセラー商品」と話す。

 「夢中で試行錯誤し続けた32年間だった。ウコッケイの経営はお世辞にも良いとは言えない。それでも続けられたのは、支えてくれる人たちに届けたい思いから」と笑顔を見せる。

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