西武国分寺線・鷹の台駅近くの小平中央公園(小平市津田町1)で12月17日、クリスマスマーケットが開催される。地元店舗の「思いつき」から始まったプロジェクトに、学生や地域住民が呼応。ついには地域団体も巻き込みイベント開催にこぎ着けた。
企画・運営のシャーリックは、鷹の台商店街でスウェーデンパンの店「torpet(トルペット)」を経営する。担当の澤崎譲士さんは「都心のクリスマスのように華やかではないが、地元に帰る人を温かく迎えてくれる、そんなマーケットにしたい」と思いを話す。
当日は、北欧雑貨・焼き菓子・生花・クラフトビール・自家焙煎(ばいせん)コーヒーなど、さまざまなジャンルの17店舗が出店予定。地域学生のアート作品の展示やワークショップなども予定する。
開催のきっかけは2021年のクリスマス。トルペットは、いまひとつ盛り上がりに欠けるクリスマスを終えていた。同店オープンがその年の10月で、知名度が低かったとはいえ、スタッフは季節に相応しい盛況さを期待し、準備もしていたがかなうことはなかった。
同店でバリスタを務める澤崎さんはこうした結果を踏まえ、店の企画会議で「来年はクリスマスマーケットを開きたい」と提案。他のスタッフも賛同し動き出したプロジェクトだが、澤崎さんは「思い付きで、軽いノリだった」と笑顔を見せる。
澤崎さんにとって、イベントの企画・運営経験は皆無で、右も左も分からない素人だった。「公園で開催するなら、申請も許可もいらないと本気で思っていた」と明かす。しかし、市からは「営利目的では開催できない」と告げられ、「マーケットを開催する意味が、そもそも曖昧だったことを思い知った」と振り返る。
鷹の台駅周辺には津田塾大学をはじめ、武蔵野美術大学など4つの大学がある。澤崎さんは、普段は横のつながりを持たない各大学の学生らがマーケットを通じてつながれることに着目。こうした学生たちの力を地域住民がバックアップすれば、地元にも地域経済にも生かせるのではないかと考えた。「マーケットを開催する意味」が生まれた瞬間だった。
迷いながらも澤崎さんは、思いを訴え続けることで徐々に賛同者を増やしていった。夏には、市の国際交流会や観光まちづくり協会などが主催となり、小平市が後援に名乗り出た。プロジェクトはここから一気に現実味を帯びていった。
「利益の一部は復興支援としてウクライナへ寄付する」と澤崎さん。「皆が楽しく過ごすことが、地域のためにも世界のためにもなる、そんな前例を作りたい」と話す。
開催時間は11時~16時。