新型コロナウイルス感染による肺炎で3月29日に70歳で亡くなったタレント・志村けんさんを名誉市民に選定する議案が6月25日、東村山市議会で審議され、満場一致で可決した。
市議会6月定例会の最終日となったこの日、議場では可決直後に顕彰式も行われた。志村さんの長兄である知之さん、次兄の美佐男さんら遺族4人が出席し、渡部尚(たかし)市長から名誉市民の称号記を代理授与された。美佐男さんは「日本一のファンであるおふくろ、志村和子も喜んでいると思う」とコメントした。
渡部市長は推挙に至った経緯について、「東村山と言えば志村けんさん、志村けんさんと言えば東村山。市とは深い絆で結ばれており、名誉市民にという声や銅像・モニュメント設置の要望も多数寄せられた。志村さんが亡くなられてから『お気持ち』として受け付けたメッセージは2万2000件に及び、海外を含め、全国からこれだけの声が届いたので審議にかけることとした」と説明。
志村さんの遺影と共に審議を見守っていた知之さんは市長のあいさつ中に涙を拭い、自身も「弟が亡くなるとは思っていなくて、本当に寂しい」と時折声を詰まらせながらあいさつした。葬儀は近親者のみで行い、先祖代々250年続く市内の菩提(ぼだい)寺に眠っているという。生前も名誉市民の話があったことについては「(東村山市)在住でないことや、まだまだ芸が発展途上だったことから断っていたのではないか」と、志村さんの気持ちを代弁した。「これからは永遠に東村山に眠ることになる。それで(称号を)受けてもいいと思った」とも。
顕彰式の最後には、知之さんが「神聖な場でどうかとも思うが」と前置きした上で「皆さんぜひご一緒に」と志村さんの代名詞である「アイーン」を披露。出席していた議員や関係者ら全員がポーズを決め、会場は和やかな空気に包まれた。
今後志村さんの銅像などを設置する構想について、渡部市長は「市民団体などからクラウドファンディングの話も出ている。市としても前向きに検討していきたい」と話す。