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田無・西武柳沢でタクシーによる移動支援の実証実験 公共交通の空白地帯で

セダン型タクシーで、3つのルートを曜日・時間・台数・対象者限定、定額で運行する

セダン型タクシーで、3つのルートを曜日・時間・台数・対象者限定、定額で運行する

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 西東京市内の南部地域で6月17日、タクシーによる「移動支援の実証実験」が始まった。

西武柳沢駅ではロータリーの発着も検証課題。各ルートで乗降位置や利用方法なども検証する

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 路線バスやコミュニティーバスが運行できない道幅や、急な坂道で外出に不便を感じる人が多い地域で移動支援を検証するため、市内のタクシー事業者2社が協力して行う同実験。

 同市は2017(平成29)年に対象地域の住民アンケート調査を行い、昨年は8回にわたり市内の公共交通事業者や対象地域住民、学識者たちと勉強会を開いてきた。幅4メートルほどの道も多く既存のバスは運行ルートが限られるため、移動に不便を感じるとの声が上がっていたという。駅から1キロ以上、バス停から300メートル以上離れている「公共交通空白地帯」と、駅・バス停から300メートル以上離れている「公共交通不便地帯」があることが分かり、今回の実験に至った。

 運行する3つのルートは、10分程度で循環するため停留所や時刻表は設けず、乗車地点のみ設定する。ルート内に降車ゾーンを定め、自宅や目的地に近い場所で降りられる。予約不要で、乗車希望者が複数いる場合は相乗りとなる。市外在住者でも介助や付き添いの場合は同額で乗車できる。

 利用対象者は65歳以上の人や妊娠中の人、3歳未満の子どもがいる世帯で事前登録が必要。6000世帯約3500人の対象者に対し、6月22日時点で登録者数は128人、利用者数は約40人。

 同市都市整備部都市計画課の担当者は「外出の機会や行動範囲を広げるなど、対象地域の課題解決へ手伝いができる。健康増進や商業発展にもつながる」と話す。

 実証実験に協力する三幸自動車(西東京市向台町1)社長の町田栄一郎さんは「地域の課題解決への初めの一歩。運行車両の活用など環境や長期的な視点も大切にし、将来的には利用者同士で声を掛け合い、相乗りできる文化・地域にしたい」と期待を寄せる。大和交通保谷(西東京市泉町3)所長の井上和久さんは「駅までの距離やバス停留所の位置など共感するところがあり、タクシー会社としても検討課題だったことから参画を決めた」と話す。

 運行時間は10時~12時、14時~16時の2時間ずつで、ルートにより運行曜日が異なる(祝日も運行)。運行ルートは、南町・向台ルート(南町地区会館~田無柳沢児童センター~田無庁舎~南町地区会館)、柳沢地域ルート(新柳沢団地内公園~柳沢第一児童遊園~田無庁舎~新柳沢団地内公園)、西武柳沢駅ルート(柳沢第三市民集会所~西武柳沢駅南口)の3つ。運賃は300円(西武柳沢ルートのみ150円)。9月28日まで。

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