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サミットストアで武蔵野美大生がデザインしたエコバッグ ユニークな形状が好評

店頭で話を聞く学生たち

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 武蔵野美術大学(小平市小川町1)と首都圏でスーパーマーケットを展開するサミット(杉並区)が共同開発したエコバッグ「パタットキューブ」の売れ行きが好調だ。

最終プレゼンテーションの様子

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 同社が展開するサミットストアでは、レジ袋削減の取り組みの一環としてマイバッグ持参を推進し、2011(平成23)年11月から不織布製オリジナルエコバッグを販売してきた。創業55周年となる2018(平成30)年に同大学にデザインを依頼し、産学共同で「サミット・エコバッグデザインプロジェクト」を立ち上げた。約1年の制作期間を経て1月後半に販売を開始し、3月2日の時点で生産分のうち約半数の2996個が売れたという。

 プロジェクトに参加した芸術文化学科の学生15人は、環境問題や消費動向などのリサーチから始め、売り場の調査や販売員、社員へのヒアリングを行った上でアイデアを出し合った。色や素材、強度や仕様に至るまでデザインを検証。試作品を持参した数回のプレゼンテーションを経て、約50の素案の中から最終的に、「パタットキューブ」に決まった。

 商品はグリーン、ブルー、オレンジの3色展開。開くと1辺30センチのキューブ形になり、開口部が広く商品を入れやすいこと、畳みやすくコンパクトに収まることも特徴。購入者からも「底が広いのが良い」「たくさん入る」と好評を得ている。

 当時1年生だった大滝瑠花さんはデザインについて「『動き』が人の目を引く、という考えからスタートして最初に頭に浮かんだのが、がまぐちだった。そこからさらに面白い動きを生み出す折り紙の折り方を見つけて、エコバッグに展開してみた」と言う。プロジェクトで得た学びについては「プレゼンテーションは緊張感があった。社員の方々は自分たちとは違う視点を持っていて、具体的にここをこうしてほしいという要望も明確だった。デザインでは現状の問題点を見つけることが大切だが、従来のエコバッグのどこに問題があるのかを考え、解決の道筋をいかにして見つけるかを実践で学ぶことができた」と話す。

 担当指導教員の西中賢さんは、プレゼンテーションの様子を「パタッと畳めるアイデアには、早い段階から社員の方の関心が集まっていた」と振り返る。プロジェクトに参加した他の学生からも「環境問題について敏感に捉えるようになった」「社会に出た後の商品開発の流れを体験することができた」といった声が上がっている。

 西中さんは「当学科では芸術を社会とつなげる中で新たな文化や価値を創出するデザインを学ぶが、今回のように具体的な商品を生み出すプロジェクトは珍しい。今回商品化されなかった案もあるが、体験したことが別の場所で生きる可能性がある。学生たちは手と頭を使い、現場を見、話し合って進めたことで、デザインのプロセスを学べたのではないか」と話す。

 価格は598円。2月に開店した上星川店を除くサミットストア116店舗で販売中。

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