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津田塾大「山根記念ギャラリー」がリニューアル 記念写真展も

作品クレジット:「ひろしま#53」donor:Abe,H 108×74。(左から)プロジェクト担当の英語英文学科の菅靖子教授、津田塾大学言語文化研究所研究員の後藤礼圭さん、津田塾大学院生の伊藤千晴さん

作品クレジット:「ひろしま#53」donor:Abe,H 108×74。(左から)プロジェクト担当の英語英文学科の菅靖子教授、津田塾大学言語文化研究所研究員の後藤礼圭さん、津田塾大学院生の伊藤千晴さん

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 小平の津田塾大学(小平市津田町2)で現在、大学創立120周年と同大津田梅子記念交流館のリニューアルに伴う「山根記念ギャラリー」のオープンを記念した写真展「女たちのポリフォニー 石内都 in Tsudajuku 展」が開催されている。

津田塾大「山根記念ギャラリー」がリニューアル 記念写真展も

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同ギャラリーは、同大卒業生で女性初の外交官として将来を嘱望されながら、航空機事故で34歳の若さで急逝した山根敏子さんの遺志が女子学生に引き継がれることを願い開設。今回のリニューアルは山根奨学基金の寄付により実現。旧展示スペースを改装した。

 テーマに掲げた「ポリフォニー」は、複数の異なる声がそれぞれのリズム、旋律を奏でる音楽のこと。これを、被爆した広島の女性たちの遺品を撮影した「ひろしま/hiroshima」シリーズ、病を抱えて活動したメキシコの女性画家、フリーダ・カーロさんの遺品を撮影したシリーズ、石内都(みやこ)さんの母親の遺品を撮影した「Mother’s」シリーズという、異なるシリーズの作品群を展示することで表現する。

写真家の石内さんは自身の手で、作品がさまざまな角度から見えるよう展示に工夫を凝らした。解説やキャプションは、あえて付けていない。「目で見るのではなく体を使い、自分の言葉で感じ取り、向き合ってほしい」とメッセージを込める。

 会場を訪れていた大学院生の伊藤千晴さんは「女性の遺品に焦点を当てた作品群。その人がどう感じ、どう生きたかを考えてしまう」と話す。研究員の後藤礼圭さんは「戦争の悲惨さだけでなく、生きた痕跡がしっかりと作品の中に力強くある」と話す。

 石内さんは「現在も毎日のように広島平和記念資料館に遺されたものが持ち込まれている。戦後は終わっていない。持ち主はいまだ行方不明のまま。いつか生きて帰ってくるかもしれない。その時のためにきれいに撮ってあげたい」と思いを話した。

 プロジェクト担当者で英語英文学科の菅靖子教授は「石内さんの国際的な創作活動は、本学のミッション『弱さを、気づきに。強さを、分かち合う力に。不安を、勇気に。逆境を、創造を灯す光に。』を想起させる」と話す。「多くの人に作品を見てもらい、アートの力、女性たちの声の響き合いに耳を傾けてほしい」と来館を呼びかける。

 開館時間は10時~16時(金曜は10時30分~16時30分)。日曜・祝日(その他大学の指定する日)休館。入館無料。11月11日まで。

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