多摩六都科学館(西東京市芝久保町5)が5月11日、東京都教育委員会から「博物館相当施設」の指定を受けた。文化庁の博物館相当の指定要件を整えたことで、市民からの寄贈も含む貴重な地域資料などの保持方法が確保され、教育的施設としての認知度アップも期待される。
東久留米市在住の櫻井孜さんが長年にわたって収集した昆虫標本のコレクション
小平市・東村山市・清瀬市・東久留米市・西東京市の5市で共同設置した同館。1994(平成6)年3月の開館以来、「博物館類似施設」に分類されていたが、25年にわたる活動で市民からの鉱物・生物標本などの寄贈資料も8000点に増え、それらの適切な保存と管理や調査研究の必要も増したことから、博物館相当施設の指定を受けるための要件を整えてきた。
主に取り組んだのは、標本類を収蔵する場所や台帳などの管理方法の整備。鉱物・岩石・昆虫など異なる分野に統一した標本番号を付けるなど、担当者以外でも把握できる仕組みにし、収蔵場所についても、耐震・盗難防止などのさまざまな対策をしてきた。2016(平成28)年から指定を目指して準備を始めたが、途中で博物館の管轄が文科省から文化庁に変わったこともあり、足掛け5年かけての指定となった。
館内の展示内容については「指定を受けたことでの大きな変化はない」というが、運営側では、施設が指定管理者制度で運営されていても博物館の資料や機能がきちんと保持されるというメリットがあり、学芸員の実習も受け入れ可能となる。
「地域に開かれた科学館」として、北多摩5市の地域課題や特色を取り上げた展示のほか、外部活動も精力的に行う同館。圏域市民による標本コレクションなど、地域の貴重な資料も展示する。
主任研究員の原朋子さんは「相当施設としての指定を受けても、今までの『体験を通じて科学の面白さ、楽しさを伝える』という方針・活動に変わりはない。ただ地域から寄せられる期待が増すことは考えられるので、それに応えられるよう、より充実した内容の展示・プログラム作りを進めていきたい」と話す。