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小平の雑木林で「幻燈会」 宮沢賢治作品のイラスト投影と朗読、2年7カ月ぶりに再開

会のスタッフら。会場ではチームで、スクリーンや暗幕の設置、客席の設営、受付や会場案内などを行う(撮影=高野丈)

会のスタッフら。会場ではチームで、スクリーンや暗幕の設置、客席の設営、受付や会場案内などを行う(撮影=高野丈)

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 小平の市民グループ「どんぐりの会」が6月4日、小平中央公園(津田町1)の東に広がる雑木林で宮沢賢治作品の朗読とイラスト作品をスクリーンに投影するイベント「月夜の幻燈会 やまなし、雨ニモマケズ」を開催した。

小平の雑木林で「幻燈会」 宮沢作品のイラスト投影と朗読、2年7カ月ぶりに再開

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 このイベントは同会が2009(平成21)年から年2回開催するもので、今回で22回目。屋外に設置したスクリーンに、イラストレーターの小林敏也さんが「スクラッチ」という絵画技法で描いたイラストを投影。女優の鍵本景子さんの朗読に合わせて、音楽家が笛やパーカッションを演奏する。

 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、幻燈会は無観客開催を余儀なくされ、2020年からはオンライン配信に切り替えて活動してきた。行動制限緩和の動きが広がったことを受け、代表の尾川直子さんは「夜の雑木林に灯りを持って集まり作品を投影する幻燈会の楽しさは、自然の中で開催するからこそ伝えられる」と、2年7カ月月ぶりに観客を入れたリアル開催を決意した。

 一方で会場が混み過ぎないように配慮。SNSでの発信は控え、チラシやポスターなどは近隣住民を対象に限定して行うなど工夫を施し、告知はクチコミを中心に行った。「2年7か月ぶりの開催もあって、リハビリを兼ねた、いつもより小規模な開催を目指して慎重に準備した」と振り返る。

実際にふたを開けてみると、家族連れや高齢者を中心に約400人が集まる盛況ぶりを見せた。尾川さんは「座って見られなかった方も多くいて申し訳なかった」としたうえで、「上演中に風がスクリーンを揺らしたり、木々の葉が写り込み作品の一部のように見えたり、こうした自然の演出はリアル開催ならではのサプライズ」と笑顔を見せる。

「まだまだ予断を許さない状況だが、秋には通常通りに開きたい」と尾川さん。同会ではほかにも、リーフレットの発行や、「セミの抜け殻の数」「渡り鳥の数」を調査する活動など、雑木林を舞台にさまざまなイベントやワークショップを行う。「こうした活動を通して、武蔵野の雑木林の心地よさを、より多くの人に知ってほしい」と意気込む。

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