会食を避けるため公民館で調理した料理を別の場所で配布する特徴を持つ小平の「移動式子ども食堂カモミール」が、2021年5月に初回の食事配布を行ってから1年がたった。
小平「子ども食堂カモミール」が1周年 NPO法人化して体制強化も
この1年間でさまざまなメディアに取り上げられてきたカモミール。約80食を2時間で配布した初回配布に比べ、現在は約180個を20分程度で配り終える盛況ぶりだという。主催する田中貴子さんは「固定ファンの方がいて、リピーターがとても多い」と話す。
今年3月にはNPO法人化し運営体制をさらに強化した。初回から参加する、松屋フーズの鈴木真一郎さんは法人化した理由について、「企業や団体からの信頼感がより高くなって、寄付や助成金などの協力が得られやすくなる」と話す。「運営を透明化できる利点もある。1年間の活動を総括する意味でも、運営する体制の強化が必要だった」とも。
法人化に際し田中さんは「ボランティアに交通費を支給するなど、目に見える形で感謝の気持ちを表したい」と話す。「1年はあっと言う間だった。初めは先が読めなかったが、周りの一生懸命さに後押しされてここまで来られた」と振り返る。
「なぜ本当に必要としている地域に子ども食堂がないのか?」――この疑問を解消するため、自分が移動して公民館を渡り歩く「移動式子ども食堂」を開設した田中さん。子どもたちのために始めた活動の中で、食事を必要とする人が実は子どもたちだけではないことが分かってきた。
「高齢者や障がい者の方の需要が多いと分かった。初めは子どもやその家族を想定していたが、実際はもっと大きな視野で見る必要がある」と田中さん。本当に必要とする人が必ずしも表に見える存在とは限らない。こうした気付きを「今後の活動に生かしていきたい」と意気込む。
田中さんは「子ども食堂だからといって、子どもしか利用できないわけではない。遠慮してしまわないで気軽に利用してほしい」と呼びかける。