西武新宿線田無駅北口近くの居酒屋「ぐるぐる田無」(西東京市田無3、TEL 042-465-5535)が、コロナ禍による売上減を補うため、持ち帰りずしの販売を始めて3カ月がたった。
「『居酒屋がなぜすし屋?』と思われるかもしれない」と店主の大久保仁さんは話す。ホテルの厨房で和食を担当し、毎日すしを握っていた経験がある。「そこで和食の基本を学んだ。居酒屋にも(料理の)技術は必要」だという。
同店は2014(平成26)年に居酒屋として開業して以来7年間、順調に営業してきた。しかし昨年4月、コロナ禍による緊急事態宣言で酒の提供が一切できなくなった。居酒屋の営業を諦めかけていた中、持ち帰りずしに目を付ける。
「田無で持ち帰りずしと言えば谷戸町の『うおこう』が人気店で、小さな店にはいつも行列ができていた」という。大久保さん自身も「子どものころに家の行事で食べる定番の味だった」と回想する。しかし「うおこう」は数年前に閉店してしまい、「寂しさを感じていた」という。
「酒の提供ができないのなら、居酒屋をやめて『うおこう』と同じことができないか?」と気持ちを切り替えることで視界が晴れた。店の休業日を利用して、持ち帰りずしのチェーン展開をする「笹互」(足立区谷中)で再修業させてもらった。短い研修期間だったが、学ぶことは多かった。だが、ホテルの経験を思い出すと『技術はすぐに戻ってきた』」と振り返る。
持ち帰り販売に合わせて店舗を改装。店頭に窓口カウンターを設け、ウーバーイーツにも対応する。人気は「江戸前ちらし」(1,000円)で、「仕入れたネタ全部が入っている」と自信を見せる。
「業種を変更する不安はない」と大久保さん。「逆に期待の方が大きい。店頭に窓口があることで、居酒屋の再開についての質問もたくさん寄せられる」という。「実は店内には居酒屋のカウンター席を残してあって、いつでも再開できる」と柔軟さを忘れない。
「まだまだ『うおこう』のようにはいかないが、田無の人が喜んで食べられる持ち帰りずしを目指す」と意気込みを見せる。
営業時間は11時30分~14時、17時~20時。